こんにちは!果実の森の中村悠基です。
今年、私たちは果実の森の作業小屋の一角に直売所をオープンしました。
予想以上に多くのお客様にお越しいただき、心から感謝しています。
この場を借りて、なぜ直売所を始めたのか、その背景と、実際に始めてみて感じたことをお伝えしたいと思います。
これは、消費者の皆様にも、生産者としての私たちの思いを知っていただく良い機会でもありますので、最後までお付き合いください。
直売所を始めた理由 〜生産者の挑戦と決意〜
果実の森を設立して早10年が過ぎ、今年で11年目を迎えます。
当初、果実の森の果実は、美味しくてこだわりのあるものを再生産できる価格で販売することを念頭に、主にWEBでの販売を考えていました。
自社のWEBサイトをはじめ、「食べチョク」「ポケマル」「オイシックス」などのプラットフォームを活用してきました。
特に、私たちは「誰よりも高い価格で販売する」という挑戦を掲げ、その分、誰よりも美味しくて、満足していただける果物を生産することに全力を注いできました。
しかし、コロナ禍によるパンデミックや燃油価格の上昇、資材費の高騰が重なり、肥料やヤギの飼料は倍の価格になってしまいました。
正直、これには大変苦労しました。
価格設定は10年前の基準で、当時の最高価格だったため、利益が出ると考えていましたが、人件費もその頃は最低賃金748円、今は1000円。果樹栽培は多くの手作業が必要なので、生産費がどんどん増えていき、再生産が難しくなってきました。
なんとか栽培面積を増やして効率化を図ってきましたが、正直、限界を感じていました。
JAに出荷すれば、低い価格でさらに手数料も取られ、採算が合わないのは言うまでもありません。
じゃあ、農業をやめるのか?
周囲でも多くの農家が農業をやめる決断をしている中、私は「日本の食を守る」という信念を掲げ、農業に参入しました。
苦しいのはどこの農家も同じですが、私はなんとか活路を見出し、農家を支えたい。また、農業をやめた人々の農地を引き継ぎ、この素晴らしい田舎の風景を守りたい、そう強く決意しました。
消費者とのつながりを求めて 〜直売所に込めた想い〜
「心が折れそうな時こそ、消費者の声を直接聞きたい」「私たちの声を届けたい」との思いから、直売所の構想を立ち上げました。
消費者からの辛辣な言葉に憤りを感じることもありますが、「美味しい」「ありがとう」「暑い中、気をつけて」といった温かい言葉が、私たちを支えてくれています。
直接お客様の声を聞くことで、自分の中で何かが変わるかもしれない。これまでもWEB上で多くの声をいただいていましたが、やはり直接会って話すことの重要さを感じました。
だからこそ、私は消費者と直接話すことを目的に、本当に小さな直売所ですが、作りました。
直売所で感じたこと 〜小さな出会いが生む大きな力〜
実際に直売所を始めて、多少のWEB告知しかしていないにもかかわらず、多くのお客様が訪れてくれました。
果実の森の果物を「本当に美味しい!」「他とは全然違う!」と言ってくださる方が県外からも来てくれています。こうした声が、私たちの大きな支えです。
辛い時こそ、人と人が支え合うことが大切だと実感しました。
生産者と消費者が互いに支え合うことで、私たちはさらに頑張れる。そのための果実の森直売所なのです。
大規模な店舗ではなく、あえてこの小さな直売所で、訪れるお客様としっかり話し合える場を作りたかったのです。
田舎では、売り物にならない農産物を近隣の人々と分け合う文化があります。
直売所でも、来てくださった方々に、規格外の果物をプレゼントしています。ご迷惑かもしれませんが、私たちはその交流を大切にしたいと思っています。
もし長野県にお越しの際は、ぜひ長野県東御市の果実の森直売所にもお立ち寄りください。生産者の話を聞きたい、というだけでも大歓迎です。ぜひ、お気軽にお話しに来てください!
普段WEBで購入してくださっている方も、「長野県に旅行に行くついでに、果実の森に寄ってみよう!」というのも大歓迎です。
事前にご連絡いただければ、準備も整えてお待ちできますので、どうぞお気軽にお知らせください。
最後に 〜日本の農業を共に支える未来へ〜
ここまで読んでいただいたあなたは、きっと生産者に理解のある消費者だと思います。
日本の農業を守るためには、皆さんの力が必要です。
毎日の食事の背景には、誰かが一生懸命に作り上げた農産物があります。
その生産者の存在に、思いを寄せていただけたら幸いです。