果物や野菜を食べて美味しいと思った事はあると思いますがその反対でこのまずい物はなんだ!!と思ったこともあるかと思います。 そこで今回は長野県にある果物の代表的なものの味の良し悪しについて解説したいと思います。 まずは個別ではなく果実の味の違いについて簡単に説明します。
果実の味を決める要素は
1、収穫時期
2、収穫する時間
3、栽培時の着果量
4、日照時間
5、栽培管理
6、流通経路
大きく分けてもこれらの違いにより大分味が違います。野菜の場合であれば、新鮮であればある程度味の違いはわからないかもしれませんが、果実の場合は作り手によって味は千差万別です。何せ甘いか甘くないかは簡単に判断できてしまいますので、、、 それでは一つ一つ説明していきます。
1、収穫時期
果物には適した収穫時期という物があります。糖度がしっかりと上がり酸味やでんぷんがなくなりしっかりとその品種の本来の味が出た時が収穫適期になります。
しかし農家の実情はというと、なにせ早い時期に出せば出すほど単価がいいもので、しっかりと熟していないにも関わ
らず出荷している人を多く見かけます。
そうなるとぶどうで言えば酸っぱいぶどう。
りんごなら蜜のないりんご
梨なら甘くないといった具合に熟してない物は美味しくありません。
2、収穫する時間
果物特にまだ気温が30度にもなるような夏に収穫する桃や、ブドウ、梨、早生りんごは収穫する時間によって果実内に含まれる水分が増減するため、果実内の水分の豊富な朝に採った物ほどみずみずしく保存も効き美味しい物になります。
3、一本の木の着果量
果実の木には美味しい物を作れる限界量が存在します。
その限界量の求め方は、葉っぱで光合成をして、作れる養分の量に比例します。
そのため一本の木にたくさんの果実をつけ過ぎると光合成で作られる養分が足りずに養分を蓄える量が少なくなり甘みが少ない、又は甘みの一切ない果実が生産されます。
この着果量は、農家によってそれこそ千差万別で、多くつけて金になると思うと、どうしても着果量が多くなり、美味しくない物が現実に多く生産販売されています。
もう一つの要因として、例年の天候であればよい物ができる着果量だとしても年により雨が多くぶどうなどは、一粒一粒が大きくなり、結果、同じ一房であっても重さが重くなり、養分が足りずに美味しくないものができるといった事もあります。
なのでワインブドウ等の機械的なぶどう栽培では、この天候によって味が左右される事が多いです。果実栽培において一
番難しい所!!
4、日照時間
日照時間は、果実の葉っぱに太陽光が当たっている時はもちろんですが、それだけではなく晴天率も考慮しなければなりません。
この事から果実は雨の少ない地域の物がよりおいしいのと、雨が多いと果実は病気になります。そうして病気になった葉っぱが早くに落ちてしまうこともありますし、農薬の散布回数も多くなるので、こればかりは栽培地域に依存します。
5、栽培管理
主に先ほど述べた着果量や、肥料の多少、剪定(木を切る管理)の強弱、などによっても変わってきます。少し詳しく述べますと、窒素(木の枝を伸ばす肥料)が多いと多収にはなるのですが、熟すのも遅れ、味に少し苦味が出たりします。
剪定は木を切って全体の葉っぱに万遍なく光の当たるようにするのですが、この切る量により次年の木の伸びる長さや強さも変わり、熟す時期も変わり、とても難しい作業でもあります。
6、流通経路
ほとんどのスーパーに並ぶ商品などは、農家→農協→卸売市場→スーパーといった順番の流通になります。その長短はあるにしても結構な時間がかかります。
そして農協に出荷されるものも、農家で収穫された果実はその日は自宅の倉庫で常温保存、翌日に農協に出荷して外気に置かれそこで検査し冷蔵庫へ、またはこの逆。で検査してから出荷になり、出荷の際もトラックが来るまでは再び外気にさらせれます。
これが直販の場合、朝収穫→箱詰め→収穫した当日に冷蔵便で出荷→1~2日でお客様の元、という順番なので常温で置かれる期間が短いのと収穫してから食べるまでの時間が圧倒的に早い!!その為直接買われるお客様は美味しくて新鮮な物が食べられます。
それでは個別にみていきましょう!!
リンゴ
・お尻の部分の色が緑っぽくないか
・表面があまりにもべとべとしていないか
説明:リンゴの成熟期の判断はお尻の部分が最初は緑色なのですが、熟期が進むにつれてその色が薄く黄色くなっていきます。栽培期間中にリンゴの木の下に太陽光の反射シートを敷いている生産者の場合、お尻の部分まで赤くなります。しかしその場合熟期の判断がうまくできないので、早採りになる傾向があり、早採りになると水気が少なく粉っぽい感じがありますし、甘みも少ないです。
それと表面があまりにもべとべとしている物は、中に入っていた蜜が外にでてきているので収穫してからかなりの日にちが立っている物と思われます。
結果:ちゃんとお尻の色が緑ではなく、ベトベトしすぎていない物を選ぶといいでしょう。
美味しい時期:11月中旬以降~年内
ブドウ
・しっかりと色がついている
・軸が緑か茶色か
説明:ぶどうの熟期の判断は、ブドウの色を良くみます。巨峰等の黒系のブドウはしっかりと黒くなっているか。粒の付け根の房と繋がっている所までちゃんと色がついていて緑ではないか。黒系のブドウでも熟し加減が進むにつれて黒い色がさらに黒くなっていきます。
よくスーパーでみかける薄紫のブドウは手に取らない事をおすすめします。
おいしくないです。
赤いブドウの品種も同じ基準で選んでもらえば大丈夫です。
今流行りのシャインマスカット等緑の品種は、全体をみて緑色の物ほど熟していないので糖度が低いです、逆に黄色くなってくると糖度は私の確認したもので最高26度と甘さだけになります。
その中間の黄緑を選ぶとちょうどいいです。
ブドウに関しては程よい酸味が欲しい人もいるかと思います。
しっかりと色がついていても酸味は収穫できる時期になって間もない頃であれば少し残っています。長野県で言えば9月前半に買えば酸味の残ったブドウが買えます。
10月に入るともう甘さ以外になにもなく、よく巨峰などは甘すぎると言われます。
それと房の軸をみてもらうと緑の物は収穫した日から日にちが浅く日にちがたつにつれて茶色く枯れていきます。
結果:しっかりと色がついていて、軸が緑の物を選べば間違いありません。
余談ですが私は8月下旬の酸味があり甘さもありすっきりとした時期の巨峰が大好きです。このぶどうは農協に出荷できないため産地の人しかたべれません。果実の森ではご要望いただければ発送もできますのでお申し付けください。
美味しい時期:9月中~10月上中旬
なし
・お尻の色が緑っぽくないか
・その産地の収穫時期より早くないか
・何の品種か
説明:梨もりんごと同じで収穫時期は梨のお尻の部分をみて緑っぽくないか確認します。栽培期間中に反射シートを使う事はありませんが、梨は冷蔵する事を前提に早めの収穫(遅くとると日持ちが短い)の為市場に出回る物は早採りの物が多いです。
そして梨の味の決め手は品種です。よく知られている梨に、幸水、豊水等ありますが、糖度はあっても13度くらいですが、長野県のオリジナルの南水ですと平均14度以上高い物だと16度くらいで、食べた時に非常に甘さを感じます。
なので味のないようなまずい梨にあたる事はほぼないです。また果実は寒さに当たると甘くもなりますので、長野県の品種の南水は、昼夜の寒暖差の多い長野県で栽培されている事が多いためさらに外れも少ないのです。
お尻が緑ではなく、販売している物の産地をよくみて、品種も糖度の高い南水を選ぶ。
最後に一番は農家の方々がしっかりと自分の果物に責任をもち素晴らしい物を出荷できればいいのですが、実際は食べてる人なんてどんな人かも知らないし、農協ならなんでも出荷してOK!!こんな考え方をしている農家が多いこと多いこと、、、その為自分個人のお客様に良い物を送り余りを農協に出荷。これでは流通経路がどんなに短くなったとしてもお客様の手元に届く物がいい物のわけがありません。
しかし実際は農協みたいになんでも(まずいもの)でも集荷してもらわないと、良い物が作れない生産者は困るのも現実、そしてそれら安いまずい物を安価で仕入れ安く売りた人もいるわけで、うまい具合に需要と供給が成り立っているわけですね。
この記事を読まれた方々には是非そんな苦労の上に果実は生まれている事を知り上記にあげた事を良くみて是非美味しい果物を食べてもらい
、幸せな気持ちになってもらいたい。